【SS】果林「さ…寒いわ…」ガタガタ

SS
1: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 13:51:18.51 ID:v7MFvEDA
これは、あるクリスマスの夜のおはなし…

 

果林「うぅ…」ブルブル

果林「さ…寒いわ…」ガタガタ

この朝香果林という少女は、大人びた見た目をしていましたが、中身はなかなかの間抜けでした…

今日はクリスマスだというのに、電気代を3ヶ月分払い忘れたせいで電気を止められていたのです…

果林「うう~…」ズビッ

果林「何よ何よぉ…電気なんて生きるのに絶対必要なんだからタダでもいいじゃない…!」ブルブル

果林「うぅ…クリスマスなのに…」ガクブル

今彼女を温めてくれるのは、一本のロウソクだけでした…

 

5: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 14:01:50.83 ID:v7MFvEDA
コンコン…

 

果林「ひゃっ…!?」ビク

そんな果林の部屋に、突然ノックの音が転がりました…

果林「もう…何よこんな時に…!」ノソノソ…

ガチャ

果林「はーい…」

エマ「こんばんは!」

エマ「メリー・クリスマスっ!」

果林「…え?」

芯まで冷えて固まった身体を無理矢理動かし、玄関に向かった果林を迎えたのは、赤髪三つ編みの少女でした…

少女の服装はミニスカサンタ。白い太ももはあられもなくさらけ出され、その大きな胸は容赦なく谷間を露にし、こぼれ出んばかりでした…

果林「えっと…あなたは?」

エマ「わたしはサンタクロース!」

エマ「あなたにプレゼントを持ってきたんだ!」

エマ「だから…お部屋に上げてくれる?」

果林「え…」

果林「ええ…」

果林は突然現れた「サンタ」を名乗る少女を、流されるまま部屋に上げてしまいました…

果林は少々間抜けでした…

17: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 14:16:38.13 ID:v7MFvEDA
果林の部屋は狭いワンルーム…座れる場所といえばベッドぐらいしかありませんでした…

 

果林と「サンタ」は2人並んでベッドに座りました…

エマ「わぁ、クリスマスなのにお部屋真っ暗だね」

果林「その、電気…止められちゃって…」

エマ「そっかぁ」

エマ「だからそんなに寒そうにしてるんだね…」

果林「ええ、そうよ…」

エマ「…」

果林「…」

エマ「ねぇ、あなたお名前は?」

部屋に流れた少しばかりの沈黙を、「サンタ」が破りました…

果林「え…?」

果林「あ…朝香、果林」

エマ「そっかぁ」

エマ「うふふっ…果林ちゃんっ」

果林「…っ///」

果林は落ち着いているように取り繕ってはいましたが、内心大パニックでした…

無理もありません。突然「サンタ」を名乗る少女が部屋に上がり込んで、自分の隣に座って、甘い声で自分の名前を呼ぶのですから…

しかも、狂おしいほどの甘い香りを漂わせ、服装はミニスカサンタ…胸元や腕、太ももの柔肌を惜しげも無く放り出しているのです…

果林「うぅ…///」

26: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 14:32:17.00 ID:v7MFvEDA
果林「そ、そうよ!」

 

果林「あなた、プレゼント持ってきたって言ってたわよね!?」

身体の奥底から湧き上がる悶々とした感情を、部屋に流れる何だかアレな空気を振り払うように、果林は話を切り出しました…

エマ「あっ!そうだったね!」

果林「もう…忘れてたの…?」

エマ「プレゼントは…」

ギュ…

果林「わ…///」ドキ

エマ「プレゼントは「ぬくもり」だよ、果林ちゃん…♡」

突然のハグに、果林は一瞬で沸騰寸前にまで沸き上がりました。もはや思考回路はショート寸前です…

エマ「うふふ…♡」ヌギッ…

果林「えぇ!?な…何を…!?」

果林「っ…///」

エマ「言ったでしょ?」

エマ「果林ちゃんに、「ぬくもり」をプレゼント…って…♡」ギュゥ…

エマ「ふふっ…もっとあっためてあげるね…♡」ヌガシ

果林「ぁ…///」

ドサ…

エマ「ふふっ…♡」

ロウソクの火も消えて、あとはもう2人だけの聖夜…♡

♡♡♡

30: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 14:38:41.55 ID:v7MFvEDA
しずく「クリスマスの余興の劇は、こんな感じでやりましょう!!」ドン!

 

栞子「却下です」

かすみ「却下!」

璃奈「残念でもないし当然」

しずく「ど、どうして!!?」

栞子「そんな破廉恥な劇やれる訳が無いでしょう!?」

かすみ「そうだよ!!」

しずく「愛にあふれてるいいお話でしょう!?」

しずく「まさに聖なる夜にぴったりでしょう!?」

かすみ「聖なる夜というか性なる夜だねそれは!!」

璃奈「PTAから苦情待ったなし」

栞子「とにかくそんな劇は却下です」

しずく「むぅ…」

しずく「じゃぁ…」

39: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 15:19:32.06 ID:v7MFvEDA
これは、ある雪の降るクリスマスの夜のお話…

 

あるところに、2人の姉妹が仲良く暮らしていました…

2人は、貧しいながらもお互い支え合って、幸せに暮らしていました…

彼方「ごめんねぇ遥ちゃん…彼方ちゃんがもっと頑張って働いてればパーっとレストランとかでパーティできたんだけどねぇ…」

彼方「ケーキだって…」

遥「そんな…いいよお姉ちゃん!」

遥「レストランなんかより、おうちでお姉ちゃんと一緒に過ごすクリスマスの方がいいもん!」

遥「ケーキだって、お店のよりお姉ちゃんが作ってくれるやつの方がずっと美味しいもん!」

彼方「遥ちゃん…」

彼方「ごめんねぇ…」

遥「もう…謝らないでってば…!」

彼方「でも…」

2人はとても仲のいい姉妹でした…

遥「今年はサンタさん、来るかなぁ」

彼方「来るといいねぇ…」

時とともに激しくなっていく雪の中を小さな傘1つの下、2人肩を寄せ合い家路をゆく姉妹の姿は、まるで今の彼女たちの境遇を比喩するかのようでした…

49: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 19:40:29.51 ID:v7MFvEDA
家路を急ぐ2人を、前から光が照らします…

 

2人が光の出どころを見ると、狭い日本の道には不似合いなアメリカ製の高級車、リンカーンがゆっくりと近づいてくるのが見えました…

遥「わぁ…お姉ちゃん、あの車すごいね」

彼方「きっと乗ってる人はとんでもない大金持ちなんだろうね…」

そんなことを言って行き過ぎようとする2人の前で、急にリンカーンが止まりました…

そして、おもむろにドアが開き…

鞠莉「Hey!そこのSisters!」

鞠莉「Merry X’mas!」

突然、サンタ姿のシャイニーなお姉さんと、二足歩行のトナカイ4匹が現れました…

鞠莉「ずっとここで貴方達を待っていたのよ?」

彼方「えっと…私たちに一体何の…?」

鞠莉「決まってるじゃない!」

鞠莉「X’mas presentよ!」スッ

彼方「うわっ、重い!」ズシッ

鞠莉「中身はお家に帰ってからのお楽しみよ♡」キランッ

なんと、サンタ姿のお姉さんは困惑する姉妹にクリスマスプレゼントと称して何やら妙に重くて大きなジュラルミンケースを渡したのです…

50: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 19:55:35.41 ID:v7MFvEDA
遥「えっと…どうして私たちにプレゼントを?」

 

鞠莉「貴方達はこの一年、お互いを思いやり、家族を思いやり、ひたむきに努力してきました」

鞠莉「そんな貴方達を、この私が祝福しないわけにはいかないわ!」

鞠莉「そう、サンタクロースとしては!」

彼方「えぇ!?サンタさん!?」

鞠莉「exactly!本物のサンタクロースよ!」

驚くべきことに、このシャイニーなお姉さんはサンタクロースだったのです…

彼方「サンタさんって、もっとこう、ヒゲもじゃのおじいさんで、トナカイの引くソリに乗ってくるもんだと思ってたよ…」

鞠莉「これからのdiversityの時代では、固定観念に縛られてはイケマセーン!」

遥「は、はぁ…」

鞠莉「それでは2人とも…」

鞠莉「Have a nice X’mas!」Chu♡

サンタは投げキッスを残して去ろうとします…

しかし、その時でした

51: 名無しで叶える物語 2020/12/03(木) 20:14:35.85 ID:v7MFvEDA
暴徒たち「ウォォォォ!!」ドドドド…

 

暴徒たち「ヒャッハー!!クリスマスなんてクソ喰らえだぁー!!」ガシャーン!

突如、地響きのような足音とともに暴徒の大群が現れたのです…

暴徒たちは所構わず暴れ回り、おもちゃ屋のショーウィンドウを叩き割り、道行くカップルに棍棒のようなもので襲いかかり、軽トラックをひっくり返すなどの暴挙に及ぶのでした…

遥「ひえぇ…何あれ…!!」ビクビク

彼方「は…遥ちゃん…!!」ヒシッ

鞠莉「s**t!あれはクリスマスにボッチだった哀れな人間の成れの果てね…!」

鞠莉「きっとクリスマスをぶち壊しにするつもりだわ…!」

鞠莉「おとなしく自宅を警備していればよかったものを…!!」

鞠莉「クリスマスをぶち壊しになんてさせるもんですか!!行くわよヤロウども!!」チャキッ!

トナカイたち「アイアイ・マム!!」ガチャコン!

彼方「ええっ!?銃!?」

サンタは胸の谷間からブローニングハイパワーを取り出し、トナカイたちはリンカーンのトランクからドラムマガジン付きのシカゴタイプライターを取り出して構え、暴徒たちと対峙しました…

鞠莉「貴方達は車の影に隠れてなさい!」

遥「う、うん」

鞠莉「Fire!!!」

ドコドコドコドコドコドコ…!!!

浮かれたクリスマスのムードは、サンタvs暴徒の大抗争へと一転したのです…

57: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 09:52:37.32 ID:hWtUj1NS
ドドドドド…!

 

千歌(トナカイ)「クッソォ、連中も撃ってきやがった…!」

果南(トナカイ)「撃ち返せーッ!!」

果南(トナカイ)「くたばれこの万年童◯どもがァーーーッ!!」

ドドドドドドドド…!

暴徒「ぎゃあーーー!!(死)」ドドドド

曜(トナカイ)「畜生!タマが切れちまった!!」ガチャガチャ

かすみ(トナカイ)「これを!」ヒョイッ

曜(トナカイ)「すまねえ!!」ガチャッ

鞠莉「f**k!キリが無いわね!!」バン!!

降りしきるクリスマスの雪の中、サンタと暴徒の抗争は銃撃戦へと発展していました…

サンタの一味は幾多の修羅場を乗り越えてきた手練れ揃いでした…

ただ銃を持っただけのニートや引きこもりの集まりである暴徒どもとは訳が違いました…

遥「う…うぅ…」ギュ

彼方「っ…!」ギュ

姉妹はリンカーンの陰で、日常を塗りつぶすけたたましい銃声に怯えていました…

幸い、リンカーンが頑丈なおかげで姉妹は無事でした…

しかし…

彼方「…!!」

暴徒「ウヘヘ…」ガチャリ

姉がただならぬ気配を感じ顔を上げると、1人の暴徒が銃をこちらに向けているのが見えました…

暴徒は獲物を見つけた醜悪な獣のように、残虐な笑みを浮かべています…

彼方「遥ちゃんッッ!!!」バッ

遥「おねえちゃ…!?」

すかさず、姉は妹に覆い被さります…

妹が助かるなら、私の命はどうなっても構わない…

覚悟はとうに決まっていました…

58: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 10:00:44.55 ID:hWtUj1NS
かすみ(トナカイ)「危ないッッ!!」バッ

 

あわや、と思ったその時でした…

1匹のトナカイが姉妹の前に踊り出たのです…

ドドドド…

かすみ(トナカイ)「うあぁーーーッッ!!」ドドドド

かすみ(トナカイ)「くっ…このォ!!」

ドドドドドドドド…

暴徒「ひぎゃぁーーーー!!(絶命)」ドドドド

数十発の銃弾を浴び満身創痍のトナカイでしたが、最後の力を振り絞り、見事姉妹を守ったのです…

59: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 10:15:15.37 ID:hWtUj1NS
遥「え…?」

 

彼方「い…生きてる…?」

かすみ(トナカイ)「ぶ…」

かすみ(トナカイ)「無事でよかった…」

かすみ(トナカイ)「ぅぁ…」ドサ

遥「トナカイさんっ!!」

鞠莉「トナ吉ッ!!」

遥「トナカイさん!しっかりして!!」ユサユサ

遥「血が…!止めなくちゃ…!!」

妹は倒れたトナカイの血を止めるため、自分のマフラーが汚れるのも構わず止血を試みます…

しかし…

かすみ(トナカイ)「もう大丈夫だ…お嬢ちゃん…」

かすみ(トナカイ)「オレはもう助からねえ…」

遥「そんな…!嫌っ…!」

鞠莉「トナ吉っ!馬鹿な事言わないでちょうだい!!」

かすみ(トナカイ)「サンタの姉御…」

駆けつけたサンタが、トナカイに呼びかけます…

かすみ(トナカイ)「あっしは…あんたの下でトナカイができて幸せでした…」

鞠莉「馬鹿!故郷(くに)に置いてきた婚約者はどうするのよ!!」

鞠莉「女優志望の、清楚な婚約者はどうするのよ…!!」

かすみ(トナカイ)「うぅ…トナ子、すまねぇ…」ガク

かすみ(トナカイ)「…」

鞠莉「トナ吉!!」

遥「トナカイさんっ!!」ポロポロ

遥「嫌だよトナカイさん!!目を開けてよぉ!!」ユサユサ

遥「ねぇ!」ユサユサ

彼方「遥ちゃん…」ギュ

彼方「眠らせてあげよう…?」

彼方「トナカイさんは、頑張ったんだよ」

遥「うぅ…お姉ちゃんっ…!!」シクシク

67: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 19:54:02.05 ID:hWtUj1NS
曜(トナカイ)「トナ吉の仇だ!」

 

千歌(トナカイ)「うおぉぉーー!!」

ドドドド…

暴徒ども「あひぃーーーー!!!!(死)」バタバタ…

果南(トナカイ)「地獄へ堕ちろぉーー!!」

ドドドド…

鞠莉「ヤロウども!1匹たりとも逃すんじゃ無いわよ!!」

ダンッ!!…ダンッ!!

姉妹を守って勇ましく散ったトナ吉の無念を晴らすため、サンタの一味は獅子奮迅し、ついに暴徒どもを1人残らず殲滅したのです…

クリスマスに彩られ、音楽と喜びで満ちていた街は無惨に壊され、雪で白かった道はすっかり暴徒どもの血で赤いまだら模様に染まってしまいましたが、平穏なクリスマスがやっと戻ってきたのです…

68: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 20:34:31.71 ID:hWtUj1NS
しかし、サンタの一味が払った犠牲はあまりにも大きく、悲しいものでした…

 

死体袋「…」

遥「…」

遥「トナカイさん…」

彼方「…」

果南(トナカイ)「…まさか、この死体袋にトナ吉を入れることになるなんてなぁ」

果南(トナカイ)「いつも、こうなる覚悟はしてたつもりだけどよ…」

果南(トナカイ)「やっぱり、つれぇなぁ…」ポロポロ

千歌(トナカイ)「うぅ…トナ吉ぃ…」シクシク

千歌(トナカイ)「クリスマスが明けたら故郷で祝言を挙げるはずだったのに…」メソメソ

曜(トナカイ)「こんなことになるんだったら、あの時ぶん殴ってでも故郷に置いて来るんだった…!」

曜(トナカイ)「トナ吉…すまねえ…」グスッ

遥「ごめんなさい…!」ポロポロ

遥「私たちをかばったばっかりに…」ポロポロ

彼方「うぅ…トナカイさん…」シクシク

鞠莉「…」

ギュ…

遥「え…?」

鞠莉「ありがとう…」

鞠莉「トナ吉の最期に立ち会ってくれて…」ギュゥ…

遥「うぅ…」ポロポロ

遥「うわーーん!!」

遥「トナカイさぁーーん!!」ポロポロ

彼方「…っ」ポロポロ

彼方「うっ…ぐす…」ポロポロ

彼方「ありがとう…!」ポロポロ

鞠莉「…っ」ギュ

姉妹は心が晴れるまでひとしきり泣きました…

自分の身も顧みず自分たちとこの街のクリスマスを守ってくれたサンタとトナカイのみんなに、そして、命を賭して暴徒から守ってくれたトナカイさんに、めいっぱい「ありがとう」を言いました…

69: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 20:52:30.57 ID:hWtUj1NS
鞠莉「それじゃ貴方達!次のクリスマスまでいい子で過ごすのよ!」

 

かなはる「はいっ!」

鞠莉「See you next X’mas!!」

バタン!

ブロロロロ…

遥「…」

彼方「…」

去っていくリンカーンの後ろ姿が見えなくなるまで、エンジンの音が聞こえなくなるまで、姉妹はサンタの一味をずっと見送っていました…

遥「…」

彼方「…」

遥「…お姉ちゃん」

遥「…私、この事ずっと忘れない」

遥「サンタさんのことも…トナカイさんのことも…」

彼方「うん…」

彼方「彼方ちゃんも、忘れないよ…」

遥「…」

彼方「…帰ろっか」

遥「…うん」

姉妹は、重いジュラルミンケースを抱えて家路を急ぐのでした…

胸にこの少し不思議なクリスマスの思い出をしまって…

71: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 21:05:08.16 ID:hWtUj1NS
ガチャ

 

遥「はぁ~…やっと帰ってこれたぁ…」

彼方「ほんとだねぇ~」

遥「このケース、何が入ってるんだろう…?」

彼方「…開けてみよっか」オソルオソル

ガチャ…

ジュラルミンケースを開けて姉妹は思わず仰天しました…

なんと、その中には「TaxはNo problemよ♡」と書かれたメモと一緒に軽く一億円はあろうかというほどの大量の札束が入っていたのです…

彼方「す…すごい…!」

遥「一万円が…こんなにいっぱい…!」

彼方「レストランにだって行けるよ、遥ちゃん!」

遥「そうだね、お姉ちゃん!」

遥「でも、今日はお姉ちゃんの料理が食べたいな…」

彼方「遥ちゃん…!」ジーン

彼方「よーし!彼方ちゃん、腕によりをかけて作っちゃうぞ~!」

これは、ある雪の降るクリスマスの、ちょっと不思議なお話…

73: 名無しで叶える物語 2020/12/04(金) 21:17:09.62 ID:hWtUj1NS
しずく「こんな感じの劇ならどうでしょう!!」ドン!

 

かすみ「えぇ…?何それぇ…」

栞子「登場人物の言葉遣いが良くないです」

栞子「教育に悪いですね…」

かすみ「ツッコミどころそこ!?」

栞子「しかし…」

栞子「トナ吉さんが姉妹を庇って撃たれるシーンや、姉妹とサンタの一味がトナ吉さんの死を悼むクライマックス、そしてラストの姉妹愛溢れるシーンは…」

栞子「…感動しました」ウルウル

璃奈「うぅ…トナ吉さん…」

璃奈「璃奈ちゃんボード『しくしく…』」

しずく「そうでしょう!」

かすみ「…は?」

かすみ「…」

かすみ「おい待てぇ!!(千鳥ノブ風)」

かすみ「騙されるな!!」

かすみ「騙されるな2人とも!!」

かすみ「この劇もツッコミどころまみれだから!!」

76: 名無しで叶える物語 2020/12/05(土) 17:24:36.81 ID:uiNqJl6v
しずく「むぅ…!」

 

しずく「この脚本のどこに文句があるの、かすみさん!」

かすみ「もう文句しか無いよあんな劇!!」

かすみ「まず何なのあのサンタは!?」

かすみ「二足歩行のトナカイって何!?」

かすみ「しかもなんか銃とか使ってるし…!!」

かすみ「プレゼントも1億円の入ったジュラルミンケースとか生々しすぎてドン引きだよ!!」

しずく「こないだ見たギャング映画のアル・カポネ一味の感じをサンタに取り入れて見たんだけど…」

かすみ「なんでそんなのとサンタを混ぜようとした!?」

かすみ「サンタは子供たちに夢とプレゼントを配る人だから!!」

かすみ「ギャングと混ぜるな!!」

77: 名無しで叶える物語 2020/12/05(土) 17:39:12.30 ID:uiNqJl6v
かすみ「しかもなんかかすみん死んでるし…!!」

 

かすみ「何なのトナ吉って…!!」

かすみ「何なの故郷に置いてきた女優志望の清楚な婚約者って…」

しずく「そんな、かすみさんったら…///」キャッ…

しずく「そんな野暮なこと聞くなんて…///」モジモジ

かすみ「やっぱりアレはしず子か!!」

かすみ「モジモジするな!!気持ち悪い!!」

しずく「ええっ!?」

しずく「そんな…ひどい…」

しずく「あの時、あんなに情熱的に迫ってきたのに…!」

しずく「うっ…かすみさん、ひどいよ…」

しずく「グスッ…」

かすみ「えっ!?」

かすみ「かすみん、そんなつもりじゃ…!」

璃奈「かすみちゃん、ひどい…」

栞子「謝ってください」

かすみ「えっ!?ええ!?」

78: 名無しで叶える物語 2020/12/05(土) 17:46:18.79 ID:uiNqJl6v
かすみ「ご…ごめんねしず子…」

 

しずく「ヒック…」

かすみ「かすみんに出来ることならなんでもするから…許して…?」

しずく「えっ!?今何でもするって…!」

かすみ「なぁっ…!?」

かすみ「う、嘘泣きなんて!!」

かすみ「この演技派女優!!」

しずく「うふふ…かすみさん…♡」

しずく「何してもらおうかな…♡」

かすみ「ひ…ひぃ…!!」

80: 名無しで叶える物語 2020/12/05(土) 19:41:08.56 ID:uiNqJl6v
しずく「うふふ…♡(やらしい声)」

 

璃奈「これはまずい流れかも」

栞子「…」

栞子「…しずくさん」

栞子「かすみさんに何かを要求するのは別に構いませんが、要求するなら公序良俗に反さないような、健全なものでお願いします」

しずく「ウェッ!?」

栞子「…」

しずく「…じゃ、じゃあデート一回で…」

かすみ「それならまぁ…」

璃奈「グッジョブ栞子ちゃん」

しずく「くっ…!」

かすみ「はい!じゃあ劇のツッコミに戻すね!」

しずく「まだあるの!?」

かすみ「逆になんでもう無いと思ったの!?」

81: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 12:13:44.23 ID:y1ZUL4AA
かすみ「劇の登場人物に何でAqoursの人がいるの!?」

 

かすみ「彼方先輩の妹もいるし!!」

かすみ「虹ヶ咲でやる劇なのに!!」

しずく「最適なキャスティングでしょ?」

かすみ「他校に!迷惑を!かけるな!!」

しずく「でも、鞠莉さんにこの脚本の話をしたら…」

鞠莉(回想)「あら、最高にexcitingねその台本!!」

鞠莉(回想)「もしやる事になったらぜひ呼んでちょうだい!」

しずく「って言ってたし…」

かすみ「話したの!?鞠莉さんに!?」

かすみ「しかも何で前向きに検討してるの!?」

82: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 12:21:41.79 ID:y1ZUL4AA
かすみ「…とにかく!」

 

かすみ「この劇も却下!!」

栞子「…確かに、かすみさんの言う通りですね」

栞子「虹ヶ咲でやる劇なのにAqoursの皆さんがうちの生徒よりも多く出演しているというのはおかしいですね」

しずく「そんな!!」

しずく「むぅぅ…!」

しずく「次の脚本こそきっと納得してもらえるはず…!!」

しずく「次の脚本は虹ヶ咲の生徒しか出てきませんから!」

86: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 19:40:37.57 ID:y1ZUL4AA
これはあるクリスマス・イヴの夜のお話…

 

あなた「うっ…ぐす…」シクシク

1人の少女が、電気も暖房もつけずに自分の部屋で布団にくるまって泣いていました…

あなた「必ず今日なら、行けそうな気がしたんだけどな…」ポロポロ

この少女は、この日幼馴染を自分の部屋に呼んでいたのです…

少女はその幼馴染に友達以上の感情を抱いていました…

そして、このクリスマス・イヴに勇気を出して、幼馴染に思いを伝えようと決心していたのです…

しかし、幼馴染から当日になって急に「急にやる事が出来たので今日は行けなくなってしまった」と聞かされたのです…

なので、この少女は暗く寒い部屋の中で、悲しみと淋しさと布団にくるまって泣いていたのでした…

あなた「うぅ…さみしいよ…」ポロポロ

87: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 19:55:39.02 ID:y1ZUL4AA
ガラガラ…

 

ふと、少女の部屋の窓がゆっくりと開きました…

彼女は窓の鍵を閉め忘れていたのです…

あなた「…!?」

突然の出来事に少女の涙は止まり、その代わりに底知れぬ恐怖が心の奥から湧き出してきました.

思わず息をひそめ、布団の中でじっとします…

スタッ…

ノシ…ノシ…

何者かが窓から部屋に入る音が聞こえた後、続けてゆっくりと部屋の中を動き回る音が聞こえました…

少女は音を立てぬようゆっくりと布団から目を出し、侵入者の姿を見ようとします…

何やら被り物をして大きな袋を担いだ人間が、自分の方に向かって来るのが見えます…

まさか…空き巣!?

あなた「だ、誰!?」バッ

せつ菜「わっ!?」

少女の目の前には、サンタの格好をした小柄な少女がいました…

89: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 20:30:43.71 ID:y1ZUL4AA
せつ菜(サンタ)「…」ダラダラ

 

せつ菜(サンタ)「メ…メリークリスマス…」

部屋の主は寝ているか不在だろうとばかり思っていたサンタ姿の少女は、突然部屋の主が飛び起きたのに驚いて転び、尻もちをついていました…

あなた「…あ、空き巣?」

薄暗い部屋で大きな袋を担いだ人間を見た時の感想として、こんな言葉が出るのも無理はありません…

せつ菜(サンタ)「そんな!空き巣じゃないです!!」

せつ菜(サンタ)「袋の中だって…」バッ

せつ菜(サンタ)「ほら!プレゼントしか入ってませんよ!!」

あなた「へ、へぇ…」

あなた「じゃ、じゃああなたはサンタさんなんだ…」

せつ菜「そうです!正真正銘!本物のサンタクロースです!!」

あなた「…(疑いのまなざし)」

せつ菜(サンタ)「えっと…」ガサゴソ

せつ菜(サンタ)「これがその証拠です」スッ

「サンタ」はヨ◯バシカメラのポイントカードぐらいの大きさのカードを少女に見せます…

あなた「サンタ免許…?」

あなた「サンタ登録番号77号…」

せつ菜(サンタ)「はい!私がそのサンタ77号です!」

サンタは身の潔白を証明するため必死でした…

幸い、少女は目の前のサンタを本物のサンタであると信じてくれました…

あなた「私、サンタさんの正体はお父さんやお母さんで、本物のサンタさんはいないって思ってたけど…」

あなた「サンタさんって、本当にいたんだね…」

90: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 20:56:26.10 ID:y1ZUL4AA
ふと、サンタは少女の目に涙の跡がある事に気付きました…

 

サンタはよい子にプレゼントと夢と笑顔を届けるのが使命です…

そんなサンタが泣いている者を見過ごすなど出来ぬ相談、といったところでした…

せつ菜(サンタ)「あの…何か悲しい事でもありましたか?」

あなた「え…?」

せつ菜(サンタ)「いえ、その…見間違いだったらすみませんが…」

せつ菜(サンタ)「目の下に泣いた跡みたいなのが見えて…」

せつ菜(サンタ)「あと、なんだか声も涙声みたいだったので…」

あなた「…」

あなた「…うん」

ひとつ返事をして、少女は自分の状況を話し始めました…

91: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 21:08:48.12 ID:y1ZUL4AA
あなた「私ね、好きな人がいたんだ」

 

あなた「小さい頃からずっと一緒で、気がついたら好きになってた」

あなた「ずっと…ずっと好きだって言えずにいたけど、今日この部屋にその子を呼んで、勇気を出して思いを伝えようとしてたんだ」

あなた「でもね…」

あなた「あの子は、今日用事があるから行けなくなったって…」ウル…

あなた「あの子、ずっと何だかよそよそしくって…」ウルウル

あなた「12月になってもっとなんだか様子がおかしくなって…」ウルウル

せつ菜(サンタ)「…」

あなた「…こないだ、その子がほかの人と仲良さげに会ってるのを見たんだ」ウルウル

あなた「…何度も、何度も」ウルウル

あなた「まるで、恋人みたいだった…」ウルウル

あなた「だから…」ウルウル

あなた「私の恋は終わっちゃったんだって思うと…」ウルウル

あなた「うっ…グスッ…」ポロポロ

せつ菜(サンタ)「!!」

あなた「ごめんねサンタさん、こんな話聞かされても迷惑だったよね…」ポロポロ

あなた「ひっく…ぐす…」シクシク

せつ菜(サンタ)「…」

92: 名無しで叶える物語 2020/12/06(日) 21:28:29.94 ID:y1ZUL4AA
せつ菜(サンタ)「…」グッ

 

サンタは終始無言でしたが、内心かなり動揺していました…

目の前の少女の泣く姿に、どうしようもなく心を乱されていたのです…

人が泣くのを見て、ここまで悲しい気持ちになったのは初めてでした…

どうか泣き止んで欲しい…

目の前のあなたには笑顔でいて欲しい…

そんな感情がサンタの胸に溢れ出します…

目の前の少女は、サンタにとってドンピシャにタイプだったのです…

あなた「うっ…ぐすっ…うぅ…」シクシク

ギュ…

あなた「え…?」

衝動に突き動かされるように、サンタは少女を抱きしめていました…

せつ菜(サンタ)「泣かないでください…!」

せつ菜(サンタ)「あなたに泣かれると、私はどうしようもなく悲しくなってしまいます…!」

あなた「サンタ…さん…」

抱きしめるサンタの温もりに、鼓動に、服越しに感じるやわらかい身体に、少女は安らぎを感じていました…

ギュ…

せつ菜(サンタ)「…!!」

あなた「ふふ…サンタさん、ありがとう…」

少女は、サンタを抱きしめ返します…

96: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 09:41:06.51 ID:LRKQlDCg
涙が止まっても、少女はサンタと抱き合っていました…

 

あなた「ねぇ、サンタさん」

せつ菜(サンタ)「…はい」

あなた「私、とっても淋しいんだ」

あなた「だから…」グイッ

せつ菜(サンタ)「わっ…!?」ギシ…

少女が、サンタを抱きしめたままベッドに倒れ込みました…

ちょうど、サンタが少女を押し倒す様な格好です…

せつ菜(サンタ)「い、いきなりどうしたんですか…?」

ベッドの上で少女と目が合い、サンタは思わずたじろぎます…

少女のその緑玉のような瞳は薄く涙の膜を帯び、美しく煌めいていました…

あなた「サンタさんに、慰めてほしいんだ」

あなた「あの子への想いを、忘れさせて…」

2人の少女の太ももがこすれ合います…

せつ菜(サンタ)「そ…そんな…」

せつ菜(サンタ)「私には、サンタとしての責務が…!」

あなた「ねえ、お願い…」

あなた「…ダメ?」ウルウル…

せつ菜(サンタ)「…っ///」ゴクリ

せつ菜(サンタ)「…」

せつ菜(サンタ)「わかり、ました…」

あなた「ありがとう、サンタさん…」シュル…

♡♡♡

98: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 10:02:40.60 ID:LRKQlDCg
時を同じくして、また別の少女が道を急いでいました…

 

歩夢「はぁ…はぁ…」

歩夢「あの子、驚いてくれるかな…」

歩夢「喜んで、くれるかな…」

この少女もまた、幼馴染を愛していました…

そんな幼馴染のため、彼女はマフラーを手作りしていました…

知り合いの、お洒落なお姉さんに協力してもらいながら、幼馴染に似合う様なマフラーを編んでいたのです…

このクリスマス・イヴに入っていた幼馴染との約束を「急用で行けなくなった」と一旦断ったのは、ちょっとした悪戯心と、あの子の驚いて喜ぶ顔が見たいという想いからの行動でした…

そんなこんなで彼女は幼馴染の家にたどり着きました…

歩夢「ふふっ…」

そして、毎日のように行っている幼馴染の部屋までゆっくりと、息をひそめて向かいます…

全てはいとしの幼馴染の驚いて喜ぶ顔のためでした…

歩夢「…?」

幼馴染の部屋の前で、彼女はおかしな事に気付きます…

何やら、幼馴染の部屋からうっすらとにぎやかな声が聞こえるのです…

にぎやか…というより、媚びた様な声が聞こえるのです…

普段聞く幼馴染の、聞いたことのないほど甘い声と混じって、知らない甘い声がうっすらと聞こえます…

背筋によぎる嫌な感じに、少女の胸が警告するように早鐘を打ちます…

歩夢「…」ス…

少女は中の様子を探るため、ドアノブにゆっくりと手をかけ、少しだけドアを開きました…

スス…

歩夢「…!!」

歩夢「え…!?」サーッ…

99: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 10:18:51.59 ID:LRKQlDCg
しずく「こんな感じの脚本だよ!」ドドン

 

栞子「破廉恥です!!」ドン

栞子「却下!!却下です!!」

栞子「全く…さっき破廉恥なのはダメと言ったばかりでしょうに…!」

しずく「ええ!?そんな!!」

かすみ「そんな、って…」

かすみ「そんなもん認められるか!!」

かすみ「最初の果林先輩とエマ先輩のやつと展開ほぼ一緒だもん!!」

しずく「違うでしょ!?」

璃奈「いきなりサンタが暗い部屋に来て、部屋の主とまぐわうという展開は全くおんなじだった」

璃奈「違うのは「サンタが玄関から来るか窓から来るか」「サンタと部屋の主のどっちから迫るか」ぐらい」

しずく「ラストが違うでしょ!?」

かすみ「そのラストが大問題だよ!!」

かすみ「なんなのこのドロドロした劇は!?」

かすみ「こんなもんクリスマスに発表出来るか!!」

101: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 10:31:22.77 ID:LRKQlDCg
しずく「うぅ~!」

 

しずく「分からないよね!私の気持ちなんて!!」

かすみ「!?」

璃奈「!?」

栞子「!?」

しずく「A・ZU・NAで集まった時いっつも歩夢さんとせつ菜さんのギスギスに巻き込まれる私の気持ちなんて!!」

栞子「お、落ち着いてください」

しずく「落ち着けるわけない!」

しずく「落ち着けるわけがない!!」

しずく「歩夢さんはせつ菜さんにずっとマウントとろうとしてるし…!」

しずく「せつ菜さんはせつ菜さんで歩夢さんのマウントとか圧力に気づかずに天然で事態を悪化させるような事ばっか言うし…!」

しずく「そのせいでもうお腹が痛くて…!」

しずく「分からないよね!こんな気持ちなんて!!」

しずく「分からないよね!!」

しずく「彼方さんとエマさんの癒やし空間にどっぷり浸かってるかすみさんと璃奈さんには!!」

しずく「ユニット未所属の栞子さんには!!」

しずく「ふぅっ…ふぅっ…」ゼエゼエ

かすみ「な、何かごめん…」

璃奈「璃奈ちゃんボード『謝罪』」

栞子「すみません…」

103: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 10:56:08.32 ID:LRKQlDCg
しずく「こんな脚本書くのも仕方ないよね!!」

 

しずく「というわけで、この脚本でクリスマスの劇は進めましょう!!」

しずく「はい!!」ドン

栞子「いえ、その理屈はおかしいです」

しずく「どうして!?」

かすみ「こんな脚本、歩夢先輩が黙ってないよ」

璃奈「歩夢さんならサンタ役と寝取られる側をチェンジしようとか言い出すかも…」

璃奈「まあ、チェンジしたところで人に見せられない劇って所は変わんないけど」

栞子「という事でこの脚本も却下です」

しずく「くっ…!」

しずく「次の脚本なら…!」

しずく「この脚本は私の渾身の一作…!」

しずく「きっと納得してもらえるはず…!」

かすみ「へぇ…」

しずく「何なのその目は!?」

かすみ「いや、だって…ねぇ?」

璃奈「璃奈ちゃんボード『察し』」

しずく「むうぅぅ~!!」

しずく「その反応、後悔しても知らないから!!」

104: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 11:16:03.30 ID:LRKQlDCg
『クリスマス大河劇場 三田九郎物語』デデドン

 

かすみ「はい、もうタイトルからおかしい」

106: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 12:46:42.20 ID:LRKQlDCg
かすみ「三田九郎って何!?」

 

かすみ「なんで大河ドラマ風!?」

璃奈「…」パァン

かすみ「痛ぁ!?」

璃奈「璃奈ちゃんボード『判断(ツッコミ)が早い』」

かすみ「なんでいきなり叩いたの!?」

かすみ「なんで鱗滝さん!?」

栞子「とりあえず、まずは最後まで聞いてみましょう」

かすみ「くぅ…!」

かすみ「わかったよ…」

107: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 20:47:21.45 ID:LRKQlDCg
『クリスマス大河劇場 三田九郎物語』デデドン

 

むかしむかし、日本に侍が群雄割拠していた時代、武蔵国は音ノ木の地を治める園田海未衛門という侍がおりました…

海未衛門は、情け深く真摯でまっすぐなその人柄から音ノ木の多くの人に慕われ、その類い稀なる武芸の腕前から東国一の武芸者と称されるほどでした…

その慕われぶりはすさまじく、家族や幼馴染以外の侍衆や領民たちからは「名前で呼ぶのは畏れ多い」と、いつもあだ名である三田九郎(さんたくろう)の名で呼ばれているほどでした…

海未「♪~」

この寒い師走の日、三田九郎は音ノ木の侍仲間の高坂家の屋形で行われた弓の腕比べに飛び入り参加し、幼馴染の穂乃介(ほのすけ)を含む高坂の侍衆を圧倒的な腕前で打ち負かし、褒美にたくさんの饅頭をもらって上機嫌で園田の屋形へと帰る所でした…

海未「むふふ…今日の八つ時が楽しみです…」

三田九郎は饅頭が大好物だったので、この上なく上機嫌でした…

師走の寒さを忘れるほどに上機嫌でした…

108: 名無しで叶える物語 2020/12/07(月) 21:08:02.61 ID:LRKQlDCg
海未「おや、あれは…?」

 

ふと、三田九郎は道端に見慣れぬ2人の人影を見つけます…

1人は裕福な商家の娘が着るような綺麗な着物を着ていましたが、裾は泥で汚れ、所々破れていました…
足元は下駄も履いておらず、足袋には血が滲んでいました…

もう1人は如何にも丁稚奉公といった風情の身なりをしていました…

かすみ「お嬢、やっぱり帰りませんか?」

かすみ「足も怪我してますし…」

しずく「いいえ!絶対、帰るものですか!」

かすみ「でも…」

海未「そこのお方、いかがなされた?」

しずく「!」

かすみ「!」

三田九郎はこの2人からただならぬものを感じ、思わず声をかけました…

海未「私はこの地を治める園田海未衛門という者です」

海未「この音ノ木の郷の皆からは三田九郎と呼ばれております」

海未「何やら大変な事があったとお見受けします」

海未「よろしければ、何があったか私の屋形でお聞かせ願いたい」

海未「傷の手当てもいたしましょう」

かすみ「い、いいんですか…?」

しずく「では…」

三田九郎は乗っていた馬に2人を乗せ、屋形への道を急いで駆けました…

110: 名無しで叶える物語 2020/12/08(火) 09:41:16.45 ID:Gid1TXgo
海未「…それでは、あなた方に何があったのか教えていただけますか?」

 

しずく「はい…」

かすみ「…」

園田の屋形に着いて、三田九郎は2人から事の顛末を聞きました…

この2人は音ノ木の郷の隣、秋葉にある西木野家の所領から逃れてきたと言うのです…

なんでも、西木野家の当主である西木野真姫之丞(にしきのまきのじょう)が長いこと想っていたにこ姫を、北の方から来た絢瀬なる商人にかっさらわれ、その失恋の怒りと悲しみのあまり「西木野の領内での恋愛を一切禁止する」というお触れを出したと言うのです…

綺麗な着物を着た方は秋葉の豪商の箱入り娘で、一緒にいたこの丁稚と愛し合っていたのですが、この恋愛禁止令のせいで夜に密会していた所を西木野の侍衆に見つかり、追われる身となりそのまま音ノ木の園田の所領へと逃れてきたというのです…

海未「そんな…」

海未「自分の恋が叶わなかったからと言って領内での恋愛を禁止するなどとは…!」

海未「そのような身勝手な理由で愛し合う者たちを引き離そうとは…」

海未「あるまじき事です…!」

三田九郎はこの西木野の所領での暴挙を許すことが出来ませんでした…

113: 名無しで叶える物語 2020/12/08(火) 20:47:45.65 ID:Gid1TXgo
海未「2人とも、行くあてがないと言うのならこの音ノ木の里に居られてはいかがでしょうか?」

 

かすみ「えぇ!?そんな、良いんですか!?」

しずく「ですが、私たちは着の身着のまま逃れてきたもで、何もお返しできるようなものは…」

海未「大変な思いをしてここまで来られたというのに、お返しなど受け取るわけには行きませぬ」

海未「幸い、音ノ木の郷にはまだ空き家があります」

海未「好きな空き家にお住みください」

しずく「あ…ありがとうございます…!」

その後も、音ノ木の郷には西木野の所領から恋人たちが次々と逃れてきました…

歩夢「助けてください!私の恋人が、道中西木野のお侍に矢を射られて…!」

あなた「うぅ…」

海未「今手当てします!少し痛いですが辛抱して下さい…!」グッ

海未「穂乃介!!屋形から塗り薬を持ってきてください!!」

穂乃果「わ、わかった!」ダッ

三田九郎も、郷の領民たちも、皆逃れてくる恋人達を温かく迎え入れました…

果林「秋葉から逃げてくるときに少し迷ってこんな所に来たけれど、なかなかいい所じゃない…」

エマ「果林ちゃん!畑仕事手伝ってよぉ!」

音ノ木の郷には三田九郎の先々代が宅地開発に失敗したせいで空き家が多くあったので、逃れてきた恋人達を匿うのは容易でした…

まさかこんな形で空き家が役に立つとは…

三田九郎は先々代のことを多少見直しました…

115: 名無しで叶える物語 2020/12/09(水) 09:03:33.33 ID:9drn2QJe
逃れてきた恋人達を受け入れたおかげで、音ノ木の郷は一気に賑やかになりました…

 

海未「あぁ!!そんな!」

穂乃果「よぉし!これで8連勝!!」

穂乃果「本当に海未衛門は花札が弱いなぁ」ニヤニヤ

海未「くっ…穂乃介!もう一戦です!!」

花札がめっぽう弱い所も、負けず嫌いなところも、三田九郎は領民から慕われておりました…

三田九郎と花札をするこの侍は高坂穂乃介といい、三田九郎の幼い頃からの親友であり、三田九郎を本名の「海未衛門」と呼ぶ数少ない人物でした…

海未「むむむ…!」

穂乃果「…海未衛門」

海未「…どうしました?」

穂乃果「この平和が、いつまでも続くと良いなぁ…」

海未「ふふ…そうですね…」

平和を願う皆の心は同じでした…

しかし…

三田九郎が西木野の所領から逃れて来る恋人達を音ノ木の郷で匿っているという噂は、西木野真姫之丞の居城である輝夜の城にも届いていました…

真姫「園田海未衛門…」

真姫「私の所領から逃げ出した恋人どもを勝手に匿うとは、なんとも味な真似をしてくれる…!」

116: 名無しで叶える物語 2020/12/09(水) 09:24:35.45 ID:9drn2QJe
師走も中頃に差し掛かったある日、西木野真姫之丞からの使者が大勢の兵を引き連れて園田の屋形に現れました…

 

引き連れた大勢の兵は、「こちらの要求を呑まねば武力で音ノ木を打ち滅ぼす」という事を暗示していました…

西木野真姫之丞の要求は、「匿っている恋人達を差し出し、今後は一切西木野の所領の内政に干渉しないこと」のただ一つでした…

海未「お断り申し上げます」

しかし、使者の後ろに控える兵たちに一切臆することなく、三田九郎は要求をきっぱりと断ります…

海未「西木野の領主殿の行っておられる事は間違っています」

海未「自分の色恋沙汰が上手く行かなかったからと言って民の自由な恋愛を禁ずるなど、言語道断です!」

海未「恋人達を引き渡す事は出来ません」

海未「西木野の領主殿にお伝えください」

覚悟しておけ、どうなっても知らぬぞ、そんな捨て台詞を吐いて使者は帰って行きました…

海未「…」

海未「多少の戦は、覚悟したほうが良いでしょうね…」

どこかやりきれぬ思いで、三田九郎はこれからの事に覚悟を決めました…

117: 名無しで叶える物語 2020/12/09(水) 19:37:59.26 ID:9drn2QJe
師走の二十四日、西木野真姫之丞は大軍勢を音ノ木の郷に差し向けました…

 

音ノ木の園田の所領を攻めるには少々多すぎるほどの大軍勢でした…

海未「やはり仕掛けて来ましたか…!」

海未「郷にいる者たちには、私の屋形の奥へ逃れるよう伝えてください!!」

海未「戦える者は戦の支度を!!」

三田九郎は一族に伝わる純白の甲冑を身につけ、来たる戦に備えていました…

侍衆「承知!!」

穂乃果「よぉし!準備完了!!」

凛「気合い入れて行くにゃあ!!」

園田や高坂の侍衆の士気も最高潮でした…

そして二十四日の昼、西木野の軍勢は音ノ木の郷に攻め入りました…

その頃には音ノ木の領民や逃れてきた恋人達は皆園田の屋形の奥に逃れ、三田九郎や穂乃介、そしてそれに付き従う勇猛な侍衆が返り討ちにしてくれるとばかりに西木野の軍勢を待ち受けていたのでした…

119: 名無しで叶える物語 2020/12/09(水) 23:12:40.11 ID:9drn2QJe
西木野の大軍勢に対し、音ノ木の侍衆の戦力はおよそ10分の1…

 

しかしながら、音ノ木の侍衆は鍛え抜かれた精鋭揃い…

質より量の人海戦術で雑兵を大勢寄せ集めた西木野の軍勢に数は劣っていましたが、互角以上の戦いを繰り広げておりました…

海未「はぁっ!!」ビシュ

雑兵ども「うわぁーーー!!(死)」

三田九郎は弓取りの侍衆とともに屋形の屋根に登り、迫り来る西木野の雑兵どもに矢の雨を降らせていました…

三田九郎は武芸全般に秀でていましたが、とりわけ弓に関しては武州どころか東国一と謳われるほどの実力者でした…

穂乃果「それっ!!」ズバシュ

雑兵「がはぁー!!(斬首)」

三田九郎の親友、高坂穂乃介は剣の実力ならば三田九郎と同等かそれ以上と言われるほどの剣士でした…

矢の雨をかいくぐって来た雑兵どもを五人一度に相手をしても、全く引けを取らないどころか圧倒する始末でした…

凛「…にゃぁ!!」ヒュン…

雑兵「がはっ…!?(死)」

園田の屋形に食客として居着いていたこの凛という牢人は「星空の凛」なる異名で呼ばれており、目にも留まらぬ神速の我流剣術で雑兵どもを圧倒していました…

122: 名無しで叶える物語 2020/12/10(木) 21:10:28.97 ID:joH8rf2B
昼に始まった音ノ木の合戦、三田九郎率いる音ノ木の侍衆は西木野軍との圧倒的な物量差をものともせず圧倒し、日が沈みきる頃には大勢いた西木野の軍勢の半分を蹴散らしていました…

 

しかしながら、勇猛果敢にして練度十分の音ノ木の侍衆もこの長い戦いに疲弊していました…

そんなのはお構い無しとばかりに、西木野の軍はなおも物量戦を仕掛け続けます…

海未「くぅ…!!」

海未「キリがありませんね…!!」

海未「かくなる上は…!」

三田九郎は馬に飛び乗り、親友に呼びかけます…

海未「穂乃介!ここを頼みました!!」

穂乃果「ええ!?どこへ行くんだ海未衛門!!」

海未「少し、西木野の当主殿と話を付けてまいります」

海未「誰か!二人ほど私に付いてきてください!!」

三田九郎の目には、確かな覚悟の色がありました…

穂乃果「海未衛門!!」

穂乃果「必ず!生きて帰ってくるのだぞ!!」

そんな穂乃介の叫びに、海未衛門は笑顔で「はい、必ず帰ってきます」とだけ答え、呼びかけに応じ付いてきた若い侍衆2人とともに西木野真姫之丞の居城、輝夜城へと駆けてゆくのでした…

126: 名無しで叶える物語 2020/12/11(金) 23:49:22.38 ID:3xNwtar9
輝夜城へ向かって街道をひたすら駆ける三田九郎たちの道中は、至って順調でした…

 

しかし、それは音ノ木の郷を攻める西木野軍の本陣近くに差し掛かろうとしたところでした…

「来たぞ!射て!!」

海未「なっ!!伏兵!?」

西木野軍は音ノ木から逃げ出す者がいる事を見越して、音ノ木の郷に繋がる街道すべてに伏兵を仕込んでいたのでした…

流石は西木野真姫之丞…

知性溢れるその美貌は伊達ではありませんでした…

海未「くっ…!!」ゴロンゴロン…

伏兵たちの放った矢は3人の乗っていた馬を射殺し、三田九郎と侍衆2人は倒れる馬の背から地面に投げ出されます…

三田九郎は何とか受け身を取って無事でしたが、不幸にも侍衆2人は体の打ち所が悪かったせいで死んでしまったのです…

海未「あぁ…!そんな…藻武ノ助!模夫平…!!」

海未「この…っ!!」ブンッ

三田九郎は死んだ仲間の槍を投げつけ、一仕事終えたとばかりに揚々と足早に帰っていく伏兵3人を串団子のごとく串刺しにしました…

伏兵ども「ぎゃあーー!!(即死)」

そしてこの時、三田九郎は不運にも西木野軍の一部隊に見つかってしまったのです…

雑兵「あの甲冑は園田の当主!」

雑兵「大将首だ!やれぇーー!!」

目の前に降って湧いた大将首に、雑兵どもはわれ先にと寄ってたかります…

海未「くっ…!」

海未「こんな所でやられるわけには…!!」

三田九郎、絶体絶命…!

127: 名無しで叶える物語 2020/12/12(土) 00:15:49.80 ID:bsI6CXXT
もはや万事休す…

 

そんな思いが三田九郎の脳裏をよぎりかけたその時、三田九郎の背後で地響きのような音がするのが聞こえました…

ドドドド…

海未「!?」

雑兵ども「!?」

花陽(トナカイ)「メェーー!!」ドドドド…

彼方(トナカイ)「メェ~!!」ドドドド…

海未「あれは…鹿…!?」

なんと、奇妙な角を生やした鹿の群れが三田九郎の背後の山から現れ、迫り来る雑兵どもに向かって行ったのです…

愛(トナカイ)「メェー!!」ボコボコ

璃奈(トナカイ)「メェーー」ゲシゲシ

雑兵「うわ…何をする畜生どもっ…!!」

せつ菜(トナカイ)「メェーッッ!!!!」ボコスカ

栞子(トナカイ)「メェー!」ボコスカ

雑兵ども「ぬ、ぬわーーーっっ!!(撲殺)」

彼方(トナカイ)「メェ~!」ダダダ…

鹿たちは雑兵どもに襲い掛かって壊滅させたかと思うと、すぐに明後日の方向へと走り去って行きました…

海未「た…助かった…!?」

三田九郎は、こんな予期せぬ出来事に完全にあっけに取られていました…

129: 名無しで叶える物語 2020/12/12(土) 02:36:01.73 ID:bsI6CXXT
海未「きっとあの鹿の群れは八幡様が遣わしてくださったものなのでしょう…」

 

海未「有り難い限りです…」

何とか窮地を脱した三田九郎でしたが、三田九郎にはまだ大きな問題が残されていました…

海未「輝夜城へは…徒歩で行くしかありませんか…」

海未「しかし、これでは輝夜城に着く頃には夜が明けてしまいます…」

海未「どうしたものでしょうか…」

「メェ!」

海未「めぇ?」

三田九郎が声のする方を向くと、そこには先程の鹿の1匹がいました…

花陽(トナカイ)「メェ」

海未「これは…」

海未「私に、乗れと言っているのですか…?」

花陽(トナカイ)「…」コクリ

三田九郎は颯爽と鹿の背に乗り、西木野真姫之丞が控える輝夜城へと駆けて行きました…

ダダダダ…

海未「は、速い…!」

海未「これなら夜のうちに西木野の当主殿の所へ行けるでしょう…!」

花陽(トナカイ)「メェ~!!」ダダダダ…

海未「首を洗って待っていなさい、西木野真姫之丞…!」

ダダダダ…

131: 名無しで叶える物語 2020/12/13(日) 00:05:00.42 ID:jkBI+BAD
そして夜も更けた頃、鹿に乗った三田九郎は秋葉の西木野真姫之丞の居城、輝夜城にたどりつきました…

 

海未「…あなたのおかげで何とか今日のうちに輝夜城にたどり着けました」

海未「ありがとうございます…!」

三田九郎を輝夜城の前に降ろすと、鹿は音ノ木の郷の方面に帰って行きました…

花陽(トナカイ)「メェー!!」ダダダ…

走り去る鹿を見送った後、三田九郎は輝夜城の正門から入り込み、天守の前に踊り出ました。

海未「八幡様、どうか私にお力添えください…!」

三田九郎はもうすでに覚悟を決めていました…

海未「私は園田海未衛門!!」

海未「武蔵国、音ノ木の園田の当主なり!!」

海未「西木野真姫之丞!貴方を討ちに参りました!!」

真姫之丞は三田九郎の名乗りを聞き、天守の最上層から冷徹な目で三田九郎を睨みつけます…

真姫「自ら単騎で首を差し出しにくるとは、なかなか殊勝な心がけだ…!」

真姫「番兵ども、奴を殺せ!!」

真姫「奴の首級を挙げた者には望む褒美を好きなだけ取らせよう!!」

降って湧いた好機に輝夜城内の兵は沸き立ち、われ先にと三田九郎めがけて向かってきます…

海未「くっ…!」

迫り来る敵を倒すため、三田九郎は背負っていた槍を構えます…

三田九郎の、孤独な闘いが始まったのです…

133: 名無しで叶える物語 2020/12/13(日) 15:25:29.72 ID:C+Ur8tDr
海未「はぁぁっ!!」

 

雑兵「ぐわーっ!!(絶命)」

輝夜城の天守の下、迫り来る西木野軍相手に三田九郎はまさに天下無双と言える程の大立ち回りを演じ、ついには天守の中に突入し、中に控える精鋭たちをも怒れる鬼神のごとく蹴散らしました…

その激闘で三田九郎の槍は折れ、弓の弦は切れ、残された武器は刀のみとなっていました…

海未「西木野真姫之丞!!」ドン!

真姫「!!」

そしてついに、西木野の当主が控える天守の最上層へと討ち入るに至ったのです…

ここまでの激戦を乗り越えた三田九郎の純白の鎧は自らの血と討ち取った敵兵の血で所々紅く染まり、体の至る所に受けた矢が痛々しく刺さっていましたが、その瞳はそれでもなお力強い意思に輝いていました…

真姫「我が軍の精鋭たちを圧倒しここまで来るとは…」

真姫「園田海未衛門、敵ながら天晴れな武勇だ…!」

海未「西木野真姫之丞…!」

海未「自らの失恋の腹いせに領民の恋愛を禁止するというのは、間違った行いです!!」

海未「その間違い、この園田海未衛門が正して差し上げましょう!!」

真姫「黙れっ!!お前に何が分かる!!」ダンッ!

真姫「私はにこ姫のことを心より愛していたのだ!」

真姫「いつも姫を喜ばせようとしていた!素直に想いを伝えようとしていたのだ!!」

真姫「長いこと努力して、そして姫の気持ちが私の方に向いてくれたと思った矢先に!あの金髪にかすめ取られたのだ!!」

真姫「この気持ちがお前に分かるか!?」

西木野真姫之丞はかなりの意地っ張りで、恥ずかしがりでした…

それ故、想いを伝えるのが下手くそだったのです…

海未「分かりませんね」

海未「自分独りの都合で領民に苦しみを強いるような者の気持ちなど、分かってやる筋合いはありません!」

海未「刀を抜きなさい、西木野真姫之丞!!」

海未「そのひねくれた根性、叩き直してくれます!!」チャキ…

最後の一騎打ちの火蓋が、切って落とされました…

136: 名無しで叶える物語 2020/12/14(月) 03:09:26.65 ID:0dhfwqXQ
西木野真姫之丞は一国を治め、多くの侍を従える武将ではありましたが、三田九郎とは異なり、自ら前線には立たず状況に応じて戦術を組み立て軍を動かす指揮官型の部署でした…

 

それ故、真姫之丞は実際に戦で刀を振るった経験は三田九郎には及ばず、普通に一騎打ちすれば負けるだろうと踏んでいました…

そこで、「まず城内にいる大勢の兵を三田九郎にぶつければ、もし一騎打ちになったとしても相手の三田九郎は疲弊し、経験で劣る自分でも勝てるのではないか」と考えたのです…

しかし、いざ三田九郎と一騎打ちで刃を交える事になり、真姫之丞は戦慄します…

海未「フゥッ…フゥーッッ…!!」

真姫「はぁ…はぁ…」

真姫「まだそのような力が残っていたとは…!」ゾッ

三田九郎の剣はあれほどの激戦を超えてなお、力強さと鋭さを微塵も失っていませんでした…

息を荒げ、瞳をぎらつかせ、ただひたすらに「討ち取る」という意思で向かってくる三田九郎の気迫に圧倒され、真姫之丞は攻め返す隙もなく防戦一方に追い込まれました…

海未「はっ!!」ブンッ!

真姫「ぐっ…!!」ガキン!

海未「破ッッ!!」ブゥンッ!

真姫「あぁ!!」

三田九郎の強烈な一撃に、真姫之丞はついに刀を取り落とし、床に膝をつきます…

海未「覚悟ッッ!!」チャキ…

真姫「もはや、これまでか…」

真姫之丞は自らの運命を悟り、瞑目します…

真姫(にこ姫…もっと早く、素直に貴女に愛を伝えておれば…)

137: 名無しで叶える物語 2020/12/14(月) 21:05:19.83 ID:0dhfwqXQ
音ノ木の郷の合戦は、日付をまたぎ、朝日が昇ってもなお続いていました…

 

合戦の中、疲労困憊の音ノ木の侍衆たちはあるものに気付きます…

穂乃果「はぁ…はぁ…」

穂乃果「な、なんだ…?」

穂乃果「西木野の城から…煙が…?」

その煙は西木野軍の降参を意味する狼煙でした…

狼煙に気づいた西木野軍の雑兵たちは、諦めたようにその場にくずおれます…

三田九郎率いる音ノ木の侍衆は、この合戦に勝ったのです…

穂乃果「海未衛門…」

穂乃果「成し遂げたのだな…!」

遠く朝霞に煙る輝夜城に向かい、感慨に耽る穂乃介でした…

ドドドド…

しかし、この時穂乃介は気づいていませんでした…

海未衛門を輝夜城まで連れて行ったあの妙な鹿が、穂乃介の後ろから突撃をかけて来ている事には…

ドドドドドドドド…

緊張から解放されると途端に阿呆さが出てくるのが穂乃介の悪い癖でした…

花陽(トナカイ)「メェー!!」ドガシャ!

穂乃果「うわぁぁ!?」ドサッ

鹿に跳ね飛ばされた穂乃介は鹿の背に乗るような格好で着地し、そのまま鹿に連れ去られて行くのでした…

花陽(トナカイ)「メェーッ…!」ドドドド…

穂乃果「なっ…何処に連れて行くつもりだ!?」

穂乃果「うわ…!速いっ…!」

ドドドドドドドド…

143: 名無しで叶える物語 2020/12/17(木) 01:58:08.86 ID:enWiLv0A
鹿は穂乃介を連れ去り、そのまま街道を輝夜城の方へと走り、道の途中で急に立ち止まるのでした…

 

穂乃果「うわぁ!?」ドテン

鹿がいきなり立ち止まったせいで穂乃介は勢いよく地面に投げ出されます…

鹿を非難がましく睨んだ後、おもむろに前に目を向け、穂乃介は驚きで一瞬言葉を失います…

海未「はぁ……はぁ……!」ヨロ…ヨロ…

穂乃果「海未…衛門…?」

穂乃介の目の前に、鎧を血で真っ赤に染め、全身ボロボロとなった三田九郎がよろよろと歩いてくるのが見えます…

三田九郎は、背中に何かが入った大きな白い袋をかついでいました…

穂乃果「海未衛門っ!!」

海未「ほの…すけ……?」

穂乃果「海未衛門!よくぞ一人でここまでやってのけた…!」

穂乃果「お前は真の武士(もののふ)だ…!!」

穂乃介は満身創痍の海未衛門をねぎらうと、海未衛門とともに鹿に乗って音ノ木の郷へと急いで帰るのでした…

花陽(トナカイ)「メェー!!」ドドドド…

144: 名無しで叶える物語 2020/12/17(木) 02:16:46.97 ID:enWiLv0A
海未「穂乃介…」

 

穂乃果「どうした、海未衛門」

鹿を御して帰り道を急ぐ穂乃介の背中で、三田九郎はぽつりぽつりと語り始めます…

輝夜城への道中、連れて来た2人の侍衆と乗って来た馬を伏兵に殺されてしまったこと…

逃げる伏兵を討ったが、その時に敵の部隊に見つかってしまい、窮地に立たされたこと…

その時、鹿の大群が窮地を救ってくれた上、その鹿の1匹が、馬を失い途方に暮れていた三田九郎を輝夜城まで送り届けてくれたこと…

たどり着いた輝夜城で大勢の敵兵を相手にたった1人で闘い抜いたこと…

敵の総大将、西木野真姫之丞との一騎打ちに勝ち、真姫之丞に恋愛禁止のお触れを取り下げる事と音ノ木から兵を引く事を約束させたこと…

そして輝夜城から帰るとき、真姫之丞から袋いっぱいの褒美を持たされたので、帰ったら郷の皆で分け合いたいということ…

穂乃介は時々相槌を打ちながら、黙してそれを聞いていました…

149: 名無しで叶える物語 2020/12/19(土) 16:18:01.81 ID:uzjyS8DI
三田九郎と穂乃介は朝のうちに音ノ木の郷に帰って来ました…

 

園田の屋形の門をくぐると、三田九郎は帰りを待っていた侍衆や領民たちに大きな声で呼びかけます…

海未「各々方!我々の勝ちです!!」

海未「西木野の当主は恋愛禁止のお触れを取り下げました!!」

郷の皆は自由に恋愛ができるようになった事や、戦に勝った事、三田九郎が生きて戻ってきた事に喜び、あれよあれよという間に宴が始まりました…

皆が戦の疲れも忘れたようにはしゃぎ楽しむのを、三田九郎は眩しそうに見ていました…

顔には微笑みを湛え、何も言わず静かに、心より嬉しそうに見つめていました…

そして日も落ちた頃、三田九郎はおもむろに穂乃介を呼び止めました…

海未「穂乃介、少し裏庭で話しませんか?」

穂乃果「…?」

穂乃果「別に構わんが…どうかしたのか?」

海未「少し、貴方に話しておかなければならないことがありましてね…」

未だ盛り上がり続ける宴の場を後にし、2人は屋形の裏庭へと向かいました…

150: 名無しで叶える物語 2020/12/19(土) 16:36:27.71 ID:uzjyS8DI
にぎやかな宴の声を遠くに聞きながら、三田九郎と穂乃介は屋形の裏庭の縁側に腰掛けていました…

 

師走の寒空はこの上なく透き通り、大きな満月が輝いていました…

穂乃果「しかし、お前が西木野の城でもらった褒美は凄かったなぁ…」

穂乃果「郷の皆も大喜びだったな…」

海未「えぇ…」

穂乃果「…」

海未「…」

海未「穂乃介…」

少しの沈黙の後、三田九郎は少し神妙な面持ちで穂乃介に話を切り出しました…

海未「貴方に、この郷のこれからを任せます」

穂乃果「…?」

穂乃果「ははっ、海未衛門、何を言ってるんだ」

穂乃果「この郷はまだまだお前が…」ギュ

穂乃果「…!!」

三田九郎の手を握り、穂乃介は三田九郎の言葉の真意を悟りました…

無双の武人であるとはいえ、1人の人の身に余るほどの業を成した三田九郎の身体は、この時すでに限界を迎えていたのです…

穂乃果「海未衛門…!」

海未「…」コクリ

穂乃果「っ…!」

あまりにも唐突に突き付けられた事実に、穂乃介はしばし言葉を失います…

153: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 01:32:16.10 ID:jS/e1I24
穂乃果「……」

 

穂乃果「…わかった」

覚悟を決め、穂乃介は親友の頼みに応じます…

感情をこらえ、いつも通りに答えようとしてはいましたが、その声は少し震えていました…

海未「…ありがとうございます」

海未「貴方になら、安心して任せられます…」ニコッ

その答えが聞けてよかった、そんな感情が三田九郎の笑顔の中に満ちていました…

穂乃果「…」

海未「穂乃介、郷を背負うからには常に皆の模範となるような振る舞いをするのですよ?」

穂乃果「…うん」

海未「朝は早く起きるのですよ?」

海未「寝坊なんてもってのほかです」

穂乃果「うん…」

海未「鍛錬は欠かしてはなりませんよ?」

海未「怠け癖さえ直せば、貴方はきっと私以上の剣士になれるのですから…」

穂乃果「…そんなわけ」

海未「ありますよ」

海未「怠け癖の抜け切らない今でさえ、時々私に勝つぐらいなのですから…」

三田九郎が優しい口調で言う小言は、穂乃介がいつも言われ続けていた小言でした…

普段の穂乃介ならいきりたって反論したり、不貞腐れたりしていましたが、今の穂乃介は静かに、胸の内に刻み込みながらその小言を聞いていました…

154: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 02:03:45.92 ID:jS/e1I24
海未「…穂乃介」

 

穂乃果「…」

海未「私は幸せでした」

海未「貴方のような人と、幼馴染でいられて…」

海未「親友でいられて…」

そんな海未衛門の言葉には、流石の穂乃介も感情を堪えきれませんでした…

穂乃果「…っ」

穂乃果「私だって…」

穂乃果「お前と幼馴染で…」

穂乃果「幼馴染で、親友でいられて…!」

穂乃果「嬉しかったよ…!」

穂乃果「楽しかったよ…!!」

穂乃果「海未衛門っ…!!」

せめて送るなら笑顔で送り出そうと、なんとか穂乃介は笑顔を絞りだして応えます…

海未「…!」

海未「ふふ…そうですか…」ス…

そして、まるで眠りに落ちるように海未衛門はゆっくりと瞑目します…

穂乃果「海未衛門っ…!」ポロポロ

月の光に照らされた海未衛門の顔は、凪いだ海のようにどこまでも安らかな微笑みをたたえていました…

その傍らで穂乃介は天を仰ぎ、声を殺してただただ静かに涙を流していました…

穂乃果「うっ…うぅっ…」ポロポロ

穂乃果「海未衛門っ…」ポロポロ

穂乃果「海未衛門っ…!!」ポロポロ

師走の25日、美しい満月の輝く寒い夜の事でした…

155: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 02:21:02.28 ID:jS/e1I24
これ以来、音ノ木の郷では毎年師走の25日頃になると、恋人たちの自由のため闘った真の武士(もののふ)の三田九郎こと園田海未衛門を称え、偲ぶようになり…

 

三田九郎が輝夜城でもらった褒美を郷の皆に配って回った逸話にちなんで、子どもの枕元におもちゃを置くようになりました…

そしていつしか「この日に結ばれた恋人たちは三田九郎様の加護で幸せになれる」とまで言われるようになりましたとさ…

めでたしめでたし…

157: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 02:39:08.34 ID:jS/e1I24
しずく「さあ!どうです!!」

 

しずく「私の力作は!!」

璃奈「うっ…ぐす…」シクシク

璃奈「海未衛門さん…」シクシク…

かすみ「確かにすごかったけど…」

かすみ「長いよ…」

かすみ「すっごく長いよ…」

しずく「まあ力作だからね!」

しずく「仕方ないよこれは!」

かすみ「んじゃツッコミ入れてくね~」

しずく「えぇ!?どうして!?」

かすみ「どうして!?」

かすみ「なんで逆にツッコまれないと思ったの!?」

かすみ「これメインの登場人物μ’sじゃん!!」

かすみ「虹ヶ咲でやる劇だってさっきから言ってるのに!!」

しずく「でも、うちの生徒の方が多く出演してるよ!?」

かすみ「うちの生徒ほぼモブじゃん!!」

かすみ「逃げてきた恋人とトナカイばっかじゃん!!」

かすみ「それじゃ意味がないから!!」

かすみ「他校に迷惑をかけるなって!本当にもう!!」

159: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 02:59:00.55 ID:jS/e1I24
しずく「でもこの脚本はことりさんの協力を得て作ったんだよ?」

 

しずく「衣装とかも協力してくれるって…」

かすみ「ことり先輩も巻き込んでたの!?」

かすみ「準備良すぎでしょ!!」

栞子「……あの」

栞子「この脚本って、何をベースにしてるんですか?」

しずく「よくぞ聞いてくれました!」

しずく「この劇は忠臣蔵みたいな時代劇と、サンタクロースをミックスしたもので…」

しずく「三田九郎というのはサンタクロースのもじりなんですよ!」

しずく「物語の大まかな流れはサンタクロースの語源の聖ニコラウスの逸話を踏襲しています!」

栞子「なるほど…」

栞子「…」

栞子「でも、この「主人公が恋愛を禁止された恋人たちのために立ち上がり、最終的に死んでしまう」というのは…」

栞子「聖ニコラウスの逸話ではなく聖ヴァレンティヌスの話だった気がするのですが…」

かすみ「…」

璃奈「…」

しずく「…」

しずく「…くっ!!」

結局、スクールアイドル同好会は栞子主演で『クリスマス・キャロル』をやる事になりましたとさ…

栞子「いじわる老人の役をさせられるのは初めてです…」

おしまい♡

165: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 12:29:54.67 ID:jS/e1I24
【補足】

 

ちなみに、「貧しい娘たちを憐れんで、彼女たちの家の煙突に金貨を投げ込んだら暖炉脇に干してた靴下の中に入った」という感じの逸話が聖ニコラウスの逸話

聖ヴァレンティヌスというのはバレンタインデーの語源となった聖人

「クリスマス・キャロル」は意地汚い守銭奴のスクルージという老人が、クリスマスイヴに過去・現在・未来を旅する不思議な体験をして改心するお話

そしてサンタクロースが赤いのはコカコーラのマーケティングのせい

 

160: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 07:47:44.45 ID:Ek6jnqnx

座長さぁ…

 

161: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 07:50:41.66 ID:TCelzy3g
乙ん

 

一年組いいね

162: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 08:46:30.58 ID:N9LL5M/y
乙ですよ
このしずくちゃんはいいね

 

168: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 13:39:15.32 ID:CbbpKlbk
まさかの超大作で草
乙やで

 

169: 名無しで叶える物語 2020/12/20(日) 20:02:20.33 ID:YB01laAJ
この海未ちゃんにはりなりーじゃなくても惚れる

 

173: 名無しで叶える物語 2020/12/21(月) 21:02:44.08 ID:0eFVbgig
どうも1です
聖ニコラウスの逸話も聖ヴァレンティヌスの逸話も、「サンタクロース 由来」とか「バレンタインデー 起源」とかでググればすぐ出てきます

 

あと、昔ラ板かどっかで聖ヴァレンティヌスの逸話をベースにしたSS(確かことりが王様役で希が聖ヴァレンティヌス役だった気がする)を見たことがあります

ちなみに、海未衛門の生存ifって需要あります?

174: 名無しで叶える物語 2020/12/21(月) 21:09:43.29 ID:ciCjzvk1
ある(即答)

 

177: 名無しで叶える物語 2020/12/21(月) 22:46:30.70 ID:XCBTmS6H
璃奈「ある」

 

生存if

【SS】スクールアイドル大河劇場 海未衛門物語
1: 名無しで叶える物語 2020/12/23(水) 09:46:37.11 ID:KMJOOitn↓のSSに出てきた4つ目の脚本の世界観で色々書いていきます 一回深夜にスレ立てたのですが、落ちてしまったので立て直しましたよろしけ...

 

元スレ: https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1606971078/

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