とうとう我慢の限界に達した私は急遽再選挙を行い、結果中川さんを蹴落として代わりに私が生徒会長を務めることになる。
私は彼女が憎かった。でも生徒会補佐となった中川さんと一緒に仕事をしているうちに放っておけない危うさというか、彼女の色んな側面が見えてきて……
栞子「わ、私と正式にお付き合いしていただけないでしょうか!!」
菜々「その……私が高校卒業するまで待ってもらえるのであれば///」
どうしてこうなった!!
ガヤガヤガヤ
菜々(さて、ホームルームも終わりましたし、生徒会室に行きましょうか)
「ねぇ、昨日上がったせつ菜ちゃんの動画見た!?」
菜々(あ、せつ菜の話)ピクッ
「見た見た!マジ可愛かったよね!!あぁ……私だけのアイドルにしたい!!」
菜々(あれは……クラスメイトの指原さんと山田さん。私とは話したことないのに、私の事は色々知られていると思うとなんだか変な気分です)
菜々(分かる!とても分かります!!)
菜々(うぅ……会話に混ざりたい……)ウズウズ
菜々(…………まぁこんな地味な私がせつ菜だなんて誰も信じてはもらえないでしょうね)
そもそも彼女達が好きなのは私じゃなくてせつ菜なんですから。
菜々「さ、それより早く生徒会室に行かなくちゃ。栞子さんに小言言われちゃいます」
カチッカチッ
栞子「あ、せつ菜ちゃんの新曲が出ています!!これは今すぐ聞かなければ」カチッ
ウォオオ!!ウォオイェイイェイ!!
栞子「音量デカっ!!えーとボリュームボリューム……」
菜々「失礼します」ガララッ
栞子「ひゃァァァァァァ!!!!??」ブチッ
栞子「な、なんでもありません。ちゃんと入るときはノックをしてください」
菜々「しましたけど……」
栞子「はぁ……ここまで見られたのでは誤魔化せないでしょう。笑わないでくださいね」
菜々「人の大好きを笑ったりしませんよ」
栞子「ありがとうございます。せつ菜ちゃんみたいなこと言うんですね」
菜々「え!?そ、そんなことありませんよ!!」
栞子「この事はくれぐれも皆さんには内密にお願いします……」
菜々「それは勿論ですが……。でも別に隠さなくたっていいのに」
菜々「皆にも言ったほうが親近感持ってくれると思いますよ」
栞子「親近感なんて物は不要です」
菜々「そっ、そーですねー。クラスではたまに聞くけど詳しくは知らないかなー、あははー……」
栞子「それでは今度せつ菜ちゃんのライブがあるので一緒に行きませんか?」
栞子「SNSでの知り合いと行く予定だったのですが、急用でいけなくなってしまったとのことでチケットが2枚あるんです」
菜々「え?それってもしかしてライブデートですか!?」
栞子「そうなりますね」
菜々「や……やったぁ!夢だったんです。ライブデート!!」
栞子「そこまで喜んでくれると私も嬉しいです」
菜々「皆さん聞いてください!栞子さんにデート誘われてしまいました!」
あなた「栞子さんって、前話してた生徒会長の?」
かすみ「あのカタブツとデートなんていい趣味してますね」
菜々「あれで結構可愛いところもあるんですよ」
しずく「それで、どこに行くんですか?」
菜々「優木せつ菜のミニライブイベントです!いやー楽しみです!ずっと夢だったんですよライブデート!」ペカー
しずく「え?」
菜々「……?」
かすみ「何言ってるんですか……。せつ菜先輩自身が出るんだから、せつ菜先輩が三船栞子と一緒にライブ見れるわけ無いじゃないじゃないですか」
かすみ「……はっ!」
かすみ「せつ菜先輩バカなんですか……」
しずく「かすみさんにだけは言われたくないと思うよ」
かすみ「かすみんバカじゃないもん!!」
果林「ほんとよね」
彼方「…………」
かすみ「何言ってるんですか……。せつ菜先輩自身が出るんだから、せつ菜先輩が三船栞子と一緒にライブ見れるわけ無いじゃないじゃないですか」
菜々「……はっ!」
かすみ「バカなんですか……」
璃奈「ごめんなさい。流石にそんな非科学的なのは無理。私は何でもできるネコ型ロボットじゃない」
菜々「ですよね……ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」
かすみ「なんで気づかなかったんですか……」
あなた「イベント時間だけ抜けて舞台に上がるしかないかな」
菜々「そんなぁ……一緒にライブは見れないんですか!」
かすみ「見れるわけ無いでしょ!そのライブは誰がするんですか!」
菜々「うう……分かってます。分かってますけど!ライブデートぉ……」
菜々「…………」ズーン
栞子「どうしたんですか?まるで石を背負ってるみたいに気分が落ちているようですが。誘った日はあんなに楽しそうにしていたのに」
菜々「いやぁ……残酷な世界の真実に気付いてしまいまして……」
栞子「菜々さんたまに訳のわからない事を言いますね。また何かのアニメの台詞ですか?」
菜々「なんですか……?」
栞子「今日はライブイベント前に握手会があるのですが、1つしか券が入手でき無かったんです。ですから申し訳ありませんが、その間菜々さんにはお待たせしてしまうことに……」
菜々「……!」
菜々(これは、かえってラッキーです!)
菜々(一緒にライブを見ることはもう叶いませんが、この口実があれば栞子さんから疑われずに離れられる!)
菜々「は、はい!その間色々辺りを見てきますね!」ピュー
栞子「そんなに遠くに行かないでくださいね!」
菜々(今のうちに早くせつ菜の準備を!!)
せつ菜「それでは、優木せつ菜の握手会を始めまーす!」
栞子「うわぁぁ!至近距離で見る生せつ菜ヤバい!!」
栞子「あのあのっ!ずっと応援してました!!」
せつ菜(客席で何度か見たことはありますが、相変わらず普段とのギャップが凄いです……)
せつ菜「今日は来てくれてありがとうございます、栞子さん!」
栞子「え……?」
せつ菜「どうしました?」
栞子「名前、教えたことありましたっけ?」
せつ菜(あ、やばっ……)
せつ菜「えっ!栞子さんがしおりんさんだったんですか!?」
栞子「え?」
せつ菜「あっ」
栞子「あ、ありがとうございます!!」キラキラ
栞子「生徒会長やってて良かったです!!!いえ、別にそのために生徒会長になったわけではないのですが──」
せつ菜(栞子さん、とっても嬉しそうです。よっぽどせつ菜の事が好きなんですね)
ーーーー
栞子「せつ菜ちゃぁぁん!!!キャァァァァァァァ!!!!!!可愛いぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
せつ菜「ありがとうございまーす!」
せつ菜(そういえば栞子さん最前でしたね……)
せつ菜「そこの前の席の人もすっごく元気ですね!!」
栞子「キャァァァァァァァ!!!!せつ菜ちゃんからレス貰えたぁぁぁぁぁぁ!!!!!生きてて良かったァァァァァ!!!!!」
せつ菜「」ビクッ
「うわっ、横やたら五月蝿いと思ったらしおりんさんじゃん……」
「レスもらったのあんたじゃなくて私だから黙ってて!!」
せつ菜「あはは……」
せつ菜(なんだかやりづらいです……)
栞子「ありがとぉぉぉせつ菜ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
ダッ
せつ菜「すみませんが、栞子さんと合流するのですぐ戻らせていただきます!!お疲れ様でした!!」
あなた「うん!お疲れ様!!後は私達でやっておくからごゆっくり!」
栞子「あ、何やっていたんですか菜々さん!!探したんですよ!もうせつ菜ちゃんのライブはとっくに終わってしまいました!」
菜々「すみません……迷っちゃってました。ここには辿り着いていたんですが、途中でお客さんを横切るわけにもいかなかったので」
菜々「でもちゃんとライブは見てましたよ!新曲のLIKE IT! LOVE IT!なんかとてもよかったですよね!」
栞子「ちゃんとライブは見ていたんですね。それならまぁいいでしょう。次一緒に来る時ははぐれないでくださいね」
菜々「次…………はい!」
栞子「えぇ。やはりせつ菜ちゃんのライブはいいものです!」
栞子「せつ菜ちゃんほど格好良さと可愛さ、高いパフォーマンスを兼ね備えた完璧なスクールアイドルはいません!」
栞子「菜々さんもそう思いませんか?」
菜々「…………栞子さんは本当にせつ菜のことが大好きなんですね」
栞子「えぇ、嘘ではありませんが」
菜々「栞子さんは、私とせつ菜さんならどっちが好きですか?」
栞子「え?」
菜々(おそらく、栞子さんも皆と同じ……)
栞子「あなたです」
菜々「…………今、なんて言いました?私……?せつ菜じゃなくて?」
栞子「確かにせつ菜さんは素晴らしい人ですが、私には手の届かない存在です。届かないものに手を伸ばすより、目の前の幸せを享受したいと私は考えています」
菜々「じゃっ……じゃあ、もしせつ菜が告白してきたら!?私よりせつ菜の方が好きなんでしょう!!」
栞子「違います。今はあなたの事も、せつ菜ちゃんと同じくらいには好きでいるつもりです」
栞子「第一私からあなたに告白したんですよ。それはあなたと共に時間を過ごして行きたいと思ったから……」
栞子「それとも、菜々さんには、私が想い人をそう簡単に乗り換えるような軽い人間に見えるんですか」
菜々「それは…………いえ、すみませんでした」
菜々「せつ菜は本来の私と言えるでしょう。でも、普段の私も確かに私なんです」
菜々「だから、せつ菜ばかりがみんなに愛されるのが悔しくて、羨ましくて。それがせつ菜じゃない自分を否定されているような気がして……」
菜々「でも栞子さんは菜々の事も好きだと言ってくれた!せつ菜も含めて私の全てを好きと言ってくれた!
それがたまらなく嬉しいんです!!」
菜々(せつ菜は駄目ですけど、中川菜々としてなら……)
菜々「先日の告白の返答、訂正させてください」
菜々「栞子さんさえよければ、私と……菜々と、正式にお付き合いしてもらえないでしょうか!!」
栞子「もちろんです。あなたの未来、私に預けてください。絶対幸せに導いてみせます」
栞子「ところで……」
菜々「はい?」
栞子「さっきから何の話をしていたのでしょうか。菜々さんはせつ菜ちゃんでは無いでしょう」
菜々「えっ?」
栞子「確かに、眼鏡を外すと似ていないこともないですが……」ヒョイ
栞子「あ、分かりました。せつ菜ちゃんのコスプレ活動をしていたのですね。それでならチヤホヤされると、そういう事でしたか」
栞子「あの、もしよろしければそのコスプレ、今度私にも見せてください」
菜々「栞子さんの……」プルプル
栞子「菜々さん?」
菜々「栞子さんのバカァァ!!」ダッ
栞子「なにが!?」
栞子「くっ……なぜ私は罵倒されたのですか。訳が分かりません!なんて理不尽な!」
栞子「あぁムシャクシャします……!こうなったら腹いせに同好会を潰しましょう!!」
終わり
中川さん器でかいよな
おつのつん
元スレ: https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1598618118/
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